
万葉集での花の呼び名 | あかね |
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日本名 | アカネ |
題詞 | 天皇遊猟蒲生野時額田王作歌 |
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訓読 | あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る 額田王 1巻20 |
原文 | 茜草指 武良前野逝 標野行 野守者不見哉 君之袖布流 |
仮名 | あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる |
左注 | (紀曰 天皇七年丁卯夏五月五日縦猟於蒲生野 于時<大>皇弟諸王内臣及群臣 皆悉従焉) |
校異 | なし |
事項 | 雑歌 作者:額田王 滋賀 野遊び 求婚 宴席 枕詞 植物 |
歌意味 | 紫草の生えている野、御料地の野をあちらこちらにゆき歩きまわられて、まあ。野守は見はしないでしょうか、あなたは、そんなに袖をお振りになって。 |
解説 | 「野守」を天智天皇に萬し、大海人皇子をたしなめている歌です。袖を振るという行為は相手に恋心を示そうとする動作で、今日では手を振るという行為につながります。額田王はすでに天智天皇の妃となっていますので、大海人皇子のあまりにもあからさまな態度をたしなめているのでしょう。紫草の根が朱色をしているので、あかねと名づけられ、紫の枕詞となっています。[矢富巌夫 1996:25] |
分類 | :アカネ科 |
開花時期 | :1月〜4月 |
本州から九州、朝鮮半島、台湾、中国南部に分布するつる性の多年生草本で、山地や平原に見られる。本種の根は染料として茜染に用いられ、また利尿止血、解熱強壮剤として薬用になる。日本名は根が赤いことからついたものであり、それで染めた色はちょうど太陽が出る前の東の空の色に似ているので古くは東の枕詞として「茜さす」が使われた。漢名は茜草。[新分類牧野日本植物図鑑 2017:974]
薬草
茜根草(せんそうこん)
地上部が枯れる秋から翌春の新芽が出るまでの間に根を掘り採り、水洗いしてから日干しにする。
<成分>アンスラキノイド色素、環状ペプチド<薬効>腎臓病・鼻血・扁桃炎・口内炎・歯痛・生理不順・生理痛
果実
秋から冬に黒く熟したら採取し、日干しにする。
<薬効>生理不順・生理痛<使用方法>生理不順・生理痛には乾燥させたねまたは果実8~10gにたいし3カップの水で半量になるまで煎じる。これを1日量として3回に分けて服用する。腎臓病には乾燥させた根4~6gに対し同様に煎じ、1日量として3回に分けて服用。鼻血などの止血に葉、乾燥させた根5~8gを同様に煎じ同量同回に分けて服用。扁桃腺・口内炎・歯痛には乾燥させた根10~15g使用同様に煎じ、その液でうがいをする。[増田和夫 2006:211]