松浦佐用彦

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胡瓜封じ(きゅうりふうじ)祈祷

 胡瓜(瓜)は弥生時代から栽培されており、日本人に親しまれ、また貢物として珍重されていました。
 胡瓜(瓜)が登場するお話は、世界中にあります。日本では『天雅彦草紙』、『為相古今集註』などに登場します。これは七夕の織姫と彦星のお話しで、瓜が割れて天の川になります。瓜は、水と深く関係する野菜でもあります。
 また延暦寺の慈覚大師が、四〇歳にして体力が衰え、目も悪くなったので命も長くないと覚悟を決め、比叡山の北谷に庵を構えて、修行をしていました。そこで天人から瓜を「霊薬」として与えられ、食べたところ、蜜のような味わいで、「これは梵天の妙薬じゃ」と言ったそうです。延暦寺だけではく、興福寺でも維摩会という法要においても瓜が供えられ、東大寺でも瓜が夏にお供えされています。高知県でも江戸時代の記録に、竹林寺の僧侶が、病にかかった夫婦と共に川に行き、胡瓜をお供えしたとあります。
 真言宗では今も、多くのお寺で「胡瓜封じ祈祷」が行われています。これは胡瓜が妙薬、薬であるということで、「病を封じる」「夏病みをしない」など病を封じるためのご祈祷です。
 定福寺では、毎年夏の土用の丑の日に「胡瓜封じ祈祷」を行っています。お申込みいただいた方のお名前を記し、お札を胡瓜の中に封じお届けしています。封じた胡瓜をビニール袋に入れて、抱いて寝て(枕元に置いてもよいです。)、翌日、川に流します。川に行けない方や、お寺に当日お起こしになれない方は、ご祈祷をさせて頂き、翌朝住職が川に流しに行きます。